スジボリタガネを自作する

以前紹介した100均で買えるデザインナイフの刃を加工して、筋彫り用のタガネを自作してみました。

まずは、赤0.1、青0.2、黄0.3、銀0.4mm の自作スジボリツール。

形状は市販品を参考に斜めカット型に。

底面と斜めにカットした面が水平になるように研げばOK。

テストサンプル

サンプルでプラバン(古くて黄ばんでますがラインが見やすいので良しとします)にスジボリしてみました。ラインチゼルは4、5回。それ以外は10回程度、軽い力で掘ってます。

テストに使ったのは、上記の自作したものと、こちらの手持ちの市販品スジボリツール。左から、
スジボリ堂 BMCタガネ 0.15mm
ファンテック 斬技シリーズ スジ彫りカーバイト0.1
GSIクレオス Gツール Mr.ラインチゼル0.3、0.7、1.0、
モデリングスクライバー けがき針

精度の計測はには以下を使用。
ハイキューパーツ マイクロゲージ1 0.05-2.3mm用
ハイキューパーツ マイクロゲージ2 1.9-4.3mm用
折れと傷防止に100均の名刺サイズのクリアケースに入れて使ってます。
丸いシールは裏表の視認用。
スジボリには細い線のゲージしか使ってないです。今回はこれでスジボリの太さを計測。太いほうは主に丸マスキングのサイズ計測に使ってます。

目視なので厳密に測れば0.01~0.02ぐらいの誤差はあると思いますが、正確性より掘った幅が掘りたい幅に見えるかが重要だと思うのでこの方法で計測します。

スジボリカーバイト0.1mm。削り具合は問題ないのですが、定規(厚さ0.65mm)で何度も引いていると線が太くなりがち。刃先が短くてハの字になっている部分に定規が当たってぶれるのだと思う。薄いガイドテープかフリーハンドなら細く掘れるが、自分にはこれがどうにも使いづらくて自作を思い立つ。

これに限らずファンテックのタングステンツールは、粘りがなくたわまない代わりに、とにかく折れやすいので注意(ようするに靭性がない)。

BMCタガネ0.15mm。流石に高いだけあって綺麗に掘れる。細い部分が長く、怖くて力が入れられない形状なのが逆に力を入れすぎずに済んでよいのだと思う。だいぶ昔(10年くらい?)に買ったものなので、さすがに2回くらい研ぎなおしてますが、今でも問題なく使えてます。本当はこれの0.1mmが欲しかったのだが高くて断念。

自作0.1mm。BMCタガネの0.15mmより細く掘れていて、仕上がりも市販ツールと遜色ないと思う。

自作0.1mmの刃先。
0.2mm以下になるとかなり薄くなるので、耐久性に不安はなくもないが、結構粘りがあるので、ファンテックのもののようにポロっと折れてしまうことはなさそう。とりあえず、3か月ほど使っているが意外と刃もかけずに使えてます。

自作0.2mm。これも問題なし。

自作0.3mm。

自作0.4mm。

ラインチゼル0.3mm。カギ爪型でぞりぞり削れる。ぶれやすかったりプラの端に引っかかったりして使いにくい部分もあるが少ない手数で深く掘れる。

ラインチゼル0.7mm。

ラインチゼル1.0mm。

タガネ加工に必要な道具

ステンレス定規、ダイヤモンドシャープナー、100均(ダイソー)のダイヤモンドやすり、加工したダイヤモンドやすり、デジタルノギス。あとは、紙やすりとマスキングテープも。

デジタルノギスとダイヤモンドやすりは必須。ダイヤモンドやすりは消耗品なので100均のもので十分。高いものもいくつか買ってみたが削る耐久力は結局大差ないので、100均のものを仕上げ用のシャープナーもあったほうが良い。切るものを研ぐには必須。あるとタガネはもちろん、ニッパーやナイフなども研げて重宝する。もちろん仕上げ用砥石でも可。

他はなくても今回はできる。ちなみに自分の使ってるデジタルノギスは150㎜だがでかくて重くてちょっと使いづらいので、ワンサイズ下の100㎜サイズでステンレス製で、0.01まで測れるものがおすすめ。ガワがカーボンファイバーのものはたわんで精度が出ない、0.1mmまでしか測れないものはあとどれくらい削ればいいかわかりにくく使いづらい。

リューターも必須。自分の使ってるものはハンズで商品入れ替えで見切られていたもので、すでに絶版。

選ぶポイントは、充電式でなくAC電源のもの。コレットチャックが交換できるもの(2.35と3.0mmが使えるもの)。回転数が変えられるもの(無段階スピードコントロールが望ましい)。そして必須ではないがストレートケーブルのもの。

値段の安い充電式はパワーが足りず止まってしまうことが多々ありストレス。(自分の持っている2千円程度の充電式のものはバフがけで止まる。1万程度出せるなら充電式もあり。)コレットチャックは、ほとんどのビットは2.35だが、たまに3.0しかないもあり交換できたほうが安心。また、長く使っていると摩耗してビットを掴めなくなってしまうこともあるので、交換品が売っているメーカー(プロクソンやドレメル)のものを買ったほうが後々困らない。ちなみに自分の使ってるものもチャックがいかれたが、たまたまドレメルものが径があったのでまだ使えている。が使えるものを見つけるのにすごく苦労した。スピードコントロールも必須。早すぎるとプラなどは溶けてしまうし、対象が固いと火花がでることも(セラミックとか)。しかし遅すぎるといつまでたっても削れなかったりする。ケーブルは、経験上スパイラルケーブルだと引っ張られて使いづらい。多少まとめるのが面倒でもストレートのほうが無難。

あと、リューターを使う際は必ず防塵ゴーグル(保護メガネ)をかけよう。ホームセンターなら必ずあるし、100均でも手に入る。眼鏡をしてても下の隙間から破片が飛んでくるともとあるので要注意。

ダイヤモンドカッターもやすり同様、消耗品なのでダイソーのもので十分。ダイヤモンドカッターは鉄材やカーボンの切断、丸鋸刃はプラスチックや木材の切断、切断砥石は切るのは試したことないが平面部でプラを平にならせるので便利。いちいち付け替えるのはとても面倒なのでマンドレルは必要分買っておくのが無難。しばらく店頭で全く見なかったが最近またみかけるようになったのでまとめ買い推奨。自分は両方3~5個程度ストックしてます。

セリアで売ってる薄板ダイヤモンドやすり。ダイソーのものよりダイヤモンド粒子が細かく、比較的均一で平面が出しやすい。ダイソーのダイヤモンドカッターは側面に粒子をつける都合上、端が盛り上がってしまい平面が出ないため、細かい部分はこちらで仕上げる。

またダイヤモンドやすりは端が丸くなっているものがほとんどで、直角が出せない。そのため側面を使い古しのダイヤモンドやすりで削って直角に削れるように加工。今回は必ずしも必要ないがつくっておくと便利。0.15mm以下をつくる場合はあったほうが綺麗に加工できる。

素材と加工

セリアなどで売ってるデザインナイフ。なぜかダイソーには売ってない。

ホルダー目的で大量に買ったので、刃も膨大に余っとる。ちなみに切れ味は自分が試した限りオルファより若干劣るが支障のない程度で問題なく切れる。

個人的な感想になるが、カッターの素材は大抵炭素鋼なので、硬度、靭性のバランスも良く、プラスチックを削る用途ならこれで必要十分だと思う。安いので、気軽に研ぎなおせるし何本でも加工できる。ただし錆びやすいのが唯一の欠点。

で、本題のタガネへの加工。道具があればそう難しいことではない。

元の刃(写真一番上)をダイヤモンドカッターで2段目の形状にカット。先に刃をやすりで落としてからのほうが幾分安全。ゴーグルは忘れずに。

600番程度のやすりで両面の表面を削って曇りを落とす。根拠はなく気休めではあるが曇った面を落としたほうがさびにくくなるように思う。

底面と刃先の斜めに短くカットした部分は、プラを削る刃になるので、平面に対しびしっと直角になるよう慎重にダイヤモンドやすりで削る。

定規やガイドテープ側に垂直に当たるようにしたいので、定規側の面は極力削らず反対側の面を削って任意の厚さにする。(右利き(左から右に引く)場合は、写真の上側の面)を削る。

デジタルノギスを使って厚みを確認しながらダイヤモンドやすりで薄く削っていく。複数サイズ作る場合は厚いサイズから作る。厚いほうが簡単だし、削りすぎたら1サイズ落せば良いため。

0.2mmぐらいまでは全体的に削っても大丈夫。0.15とか0.1mmにしたい場合は写真一番下のように刃先3mm程度だけを薄く削る。

デザインナイフの厚みが4.6mm程なので0.1~4.5mmの間なら自由なサイズを何個でも作れて経済的(ホルダー込みでも1本110円)。0.1より薄くできなくもないが強度的にこの辺が限度だと思う。

あとは試し彫りして任意の幅に綺麗に削れればOK。うまく削れなかったら底面と刃先の斜めに短くカットした部分を再度研ぎなおす。

自作してみて、0.2~0.45までの幅なら市販品を買う必要性はほぼ感じない。0.2以下も十分使えるが、強度に若干不安があるのと、加工に多少技術がいるかも。まあ模型が趣味でタガネを使おうと思う人ならそう難しくないと思う。

別に市販品を否定するつもりはないし個人的には模型ツールを物色するのはとても楽しい。ただ市販品はどうしても用途に一歩合わないケースも多々ある、自作ツールは自分の用途に合わせて自分の使いやすい形状に作れるので、うまく使い分けて模型ライフの充実の一助になればと思う。

以上。

 

 

 

 

 

 

 

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